第17回レーベル病患者の会 議事録
開催日時:2017年5月28日(日曜日) 13時00分〜17時20分
場所:井上眼科クリニック 新御茶ノ水ビルディング3F会議室
【出席者】
山形県、愛知県、奈良県、三重県、宮城県、群馬県、岐阜県、大阪府
などから患者、患者の家族、井上眼科病院関係者含め約30名超が参加
【内容】
13:00開始
・日本ロービジョン学会について
患者会メンバーの渡辺さんが参加したため紹介がありました。
5月20日、21日に「日本ロービジョン学会」が開催された。
ロービジョンに取り組んでいる医師だけでなく、看護師、
視能訓練士、患者会のメンバなど多数が参加していた。
トヨタやシャープなど大手企業もロービジョンケアに取り組んでいた。
本日、講演頂く三輪先生も同学会で発表されていました。
・新規参加メンバの紹介
Mさん
岐阜在住。
現在の視力は、0.01程度
去年の10月頃に発症し、1月から仕事は休職している。
まだ発症して間もないのでとても不安な気持ち。
視覚障碍者支援施設には相談済み。
発症するまで行っていた業務内容は2割が紙、8割がPCを使った事務作業。
→PCを使う割合が多ければ多い仕事ほど視覚障碍者に向いている。
リハビリテーション施設などで是非トレーニングを行ってほしい。
→現在、継続して勤めている仕事があるのであればその職場に復帰
することを考えたほうが良い。
今から新しい仕事を覚えるのはとても大変だし理解を得るのも難しい。
PCのスキルはどのようなことが学べるのですか?
→エクセル(関数も60種類以上)、パワーポイント、アクセスなど
が学べます。
選択式なので自分の希望するスキルが習得できます。
自分の時はPCディスプレイの電源を切ってトレーニングしました。
どのくらい訓練すればこの視力でPCを使いこなせるのか?
→7か月の方、6か月の方、4か月の方がいました。
青が認識しやすいのだが、ほかの患者も色の認識に違いはあるのか?
→私も青が認識しやすく、ほかの色はグレーに見える。
レーベル病患者か全て色認識に特徴がある訳ではないが、一部の人では得意な色がある人がいます。
Yさん 大学生
奈良在住
中学3年の9月に発症、高校は盲学校、現在は大学生。
大学にはAO推薦で入学。
視力は0.15と0.03。
病気発症前は野球をやっていたが現在は大学で水泳をやっている。
現時点、日常生活で不自由を感じる事はあるが、特別に困っている事はない。
右目が良く左目が悪いため、目が疲れるのが悩み。
大学を卒業したら航空関係の会社か商社に行きたい。
兵庫医大のイデベノンの治験で0.05から0.15に視力が改善した。
ブルーベリーの飴とルテインのサプリが自分には効果があるような気がする。
Kさん(出席者は兄弟)
大阪在住、現在35歳、去年の6月に発症。
兵庫医大に行ったが治験は終わっていたため、個人でイデベノンを
購入し、治験と同じ1日900mg飲んでいる。
少しは改善した様子。
発症した当初はかなりイライラしていたが、現在は週に1回ジムに
通っており、少し落ちついてきた。
家族としてどう対応していくのが正しいのかで悩んでいる。
→リハビリテーション施設などに行って同じ境遇の人が努力して
いる環境を共有するのが本人の病気への向き合い方を変える
近道と思います。
14:20から
【ゲスト】
国立障害者リハビリテーションセンター病院
眼科・リハビリテーション部
視能訓練士長
三輪 まり枝先生に講演を行っていただきました。
(会議の最初から最後の懇親会まで5時間も対応していただきました。
本当にありがとうございました。)
三輪先生の講演
【講演内容は下記にて再生できます】
https://www.youtube.com/watch?v=BMcKM1EfmQo
【内容】
・新聞を読むことができる視力は0.5と言われています。
矯正して0.5に満たない視力の方は不便な生活といえる。
・視力検査のコツ
見えにくいときは 「視標の位置がわからない」と伝えてみる
中心が見えない場合は視線を動かしてみる
顔だけでなく、体軸を動かして見えるところが中心に来るようにすると
より見えやすくなる
・偏心視域
偏心視時に視対象をとらえる網膜領域及び視野領域
はひとつとはかぎらない
・視覚補助具を選定する前に偏心視の獲得について確認する
→偏心視が獲得されていないと中心暗点部分で見てしまおうとするので、
視覚補助具の倍率が高くなってしまう
→偏心視が獲得されていると、適切な倍率の補助具が選べる
・偏心視の確認方法
→時計チャートの活用(片目ずつ)
何時の方向に視線をずらすと見やすいか確認する
・見えにくさを補う方法の選び方
どんなことで困っているか
何を見たいか
どこで使いたいか
→ によって、選ぶものが決まる
・まぶしいときに使用するサングラスはあまり色を濃くすると
日陰に入ったときに暗くなりすぎるので眼鏡店で購入時に
日陰の場所でも確認した方が良い。
・また、サングラスをかけなくても帽子やサンバイザーだけで
効果がある人もいる。帽子の場合はツバの内側を黒っぽくしたほうが良い。
・白い茶碗でご飯を食べるとコントラストの差がないのでご飯の
残量がわからない場合がある。茶碗を黒に変えるだけで
ご飯の残量がわかるようになる場合もある。
茶碗の色や、ランチョンマットで色のコントラストをつけるなど工夫するだけで見え方が変わる。
・ルーペを使う場合は物にルーペを近づけるのではなく
目にルーペを近づけたまま、物を近づけてみると見える範囲が広くなり、見やすくなる場合がある。
・クレジットカードを使用したときに求められるサインを書くための
便利グッズも市販されている。
・就労関係についてはNPO法人「タートル」にて相談に乗ってくれます。
http://www.turtle.gr.jp/
・視覚障がい者ライフサポート機構“viwa”でも相談できます。
http://www.viwa.jp/
10分休憩後
15:40から
Wさん
茨城県在住、一昨年9月に発症。
現在A型事業所に通っている。
家から近いロービジョンケアの施設がない。
Kさん (患者の兄弟)
埼玉県在住、現在、0.02程度。
去年の1月に発症。
現在も以前から勤めている会社で継続的に業務を行っている。
医者に経過観察と言われているので障碍者手帳をもらうきっかけが
つかめていない。(障碍者手帳取得を嫌がっている)
→現在勤務している会社に理解があるなら継続して勤務すべき。
→一時的に休みを取るなどして視覚障碍者としてのPCスキルを
向上させればかなりの業務ができるようになると思う。
Sさん(女性)
栃木県在住、現在の視力は0.02程度
最初は別の病気で手帳を取得して、現在は視力でも手帳を取得。
最初はこの会に出席するのも嫌だったが、看護師さんや子供に
励まされて参加することができ、とても感謝している。
当初は子供が二人もいるのに病気になってしまったことに
とても責任を感じていた。
現在も二人の子供に支えてもらっている。
→山形在住の女性の患者から
とても気持ちがわかり、涙が出そうです。
私も子供に対し申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
でも、現在は支えてもらいとても感謝しています。
Sさん 68歳
現在の視力は0.01と0.03程度
まだ、発症して6か月程度なので見え方が安定していない。
夜とても明るく見えたり、昼間に倍返しで見えづらくなったりしている。
何か良い薬や対処法などはないか?
→現在、イデベノンを服用すると改善する場合がある以外は特に良い薬はない。
漢方や針でのレーベル病の改善例はこの会ではない。
ただ、前向きに考えることで生活の不便さは改善できると思う。
Yさん
宮城県在住、20歳。
レーベル病の患者が多く業務している職業は何ですか?
→現在はパソコンを使用する職業に従事する方が多いです。
また、少し前は鍼灸師になる方が多かったです。
現在、日本にレーベル病の患者はどのくらいいますか?
→レーベル病の発症率は10万人に一人と言われているので
日本には数千人程度の患者がいるといわれています。
→宮城県だと仙台にロービジョンに詳しい先生がいますので
相談してみてください。(三輪先生)
Kさん
青森県出身
現在、視神経の病気ということは分かっているのだが病名が
確定していない。
レーベル病の検査を7項目したが陰性だった。
ただ、新潟の大学病院の先生に症状からレーベル病の可能性も
あると言われている。
現在、東大病院に入院している。
→レーベル病の診断基準があります。
http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/LHON.pdf
ただ、すべて解明されているわけではないです。
レーベル病患者会が終了後に懇談を行い終了しました。
懇談後の写真です!
次回開催:2017年11月頃開催予定
以上